キーの高さについて

調子とキーについて

三線は音色そのものが魅力的な楽器ですので、歌なしで三線を愉しんでもよいと思います。
しかしながら沖縄には「唄三線(うた・さんしん)」という言葉があるように、三線は唄をうたうための伴奏楽器です。ぜひ、唄三線にチャレンジしてもらいたいです。

その際にキーの高さ(音高)を歌がうたい易いように、ちんだみ(調弦)する必要があります。
ちょうどカラオケなどでキーコントロールして調整するように。

また、教室などで二つ以上の三線で練習する場合やCD、Youtubeなどの動画や音源などとあわせて練習する場合も統一したキーの高さにしなければなりません。


歌いやすいキーを探す

曲自体のキーの高さ、人の声の高さなどさまざまなので一概には言えませんが、

を目安にあわせてみて自分のうたの歌いやすいキーを探していきます。

女性は男性より声が高いので、三線の調弦を上げなければいけないと考えがちですが、大抵は低いキーに調弦を合わせた方が歌いやすいことに気づくと思います。

三線教室に通う女性の方でよくある質問です。

>「低すぎて声が出ない。どうしたらいいでしょうか?」

状況をよく聞いてみると、先生は男性で調弦は3の高さ(B-E-B)で男女混合で練習しているとのことでした。

この場合、女性は「頑張って」高い方の声を出さないといけないのですが、地声の低い人や高音の発声のトレーニングをしていない人は高い声が出せないので「オク下」(1オクターブ下)で歌いにいこうとするのです。

ところが、オクターブ下の発声をするほうがかえって困難なのです。

それで、頭に「?」が出て、「低すぎて歌えない!」 となってしまうのです。

自分は音痴なのかと自信をなくしてしまいがちですが、音感があるからこそ三線の音に発声を合わせにいこうとする証拠でもあります。

 

また、三線は構造的に男性が歌いやすいように設計されている楽器と言っても過言ではありません。

男弦をGまで下げたところが(違和感はありますが)普通に演奏し音が出せる限界のゆるさで、

逆にDまで上げたあたりが調弦をキープできる限界の張りに達します。(それ以上引っ張ると棹や蛇皮面に負担が大きく弦も切れやすい)

 

そして、一般的に低音域の発声は難しいので、男声と女声の音域の都合上、男女混合で唄三線練習する場合、女性が高音を出さないといけない状況になってしまいます。

 

 


『海の声』の動画で比較してみよう

大ヒットした『海の声』でキーの高さを比較してみましょう。

三線の音の高さと声の高さの関係に注意して聞いてみてください。

桐谷健太さん

まずはオリジナル「浦ちゃん」こと桐谷さんの唄三線。

3の高さ BーEーB ※大サビで4の高さ(C-F-C)にキーが上がります


いーどぅし さん

2の高さ (A#-D#-A#)

三線の音はオリジナルより低いのですが、かーなーさんの声はすごく高い印象です。

1の高さ(A-D-A)

同じアーティストでも歌いやすさや表現方法の変化でキーを変えているようです。


Nanase和々世さん

11G-C-G

ちんだみ早見表では11番目ですが、1の高さより低い調弦です。

弦を強く引っ張っていって11の高さをつくろとうとしたら弦がすぐに切れてしまいますのでお気をつけください。


natchy(なっちぃ)さん

6の高さ D-G-D

三線の音はめちゃくちゃ高いけれども、歌声は低いです。

6の高さは低いほうで合わせようとすると弦がゆるゆるすぎて音が出にくいです。

なので少々三線に負担かけますが張りの強い方の「D-G-D」に合わせます。

もしくは、奄美大島のシマウタで使われる三線の弦「大島弦」を使うとかなり高い調弦も可能です。


まとめ

沖縄民謡は女性の声の高さがすごく魅力的ですが、高い声を出すのが苦手な方にはかえってコンプレックスであったかもしれません。

デュエットなど男女混合で歌う場合は、女性はどうしても高い方の発声を鍛えていかないとならないかもしれませんが、女性のみ、またはソロで唄三線をする場合は歌いやすいキーを探して調弦してみてください。