調子について

調子について

三線は男弦、中弦、女弦と3弦の音の組み合わせで調子が決まっています。

曲によって指定された調子に合わせて演奏する必要があります。

曲のタイトルの下あたりに表示してあります。

三線では「本調子」がよく使われるので、特に表示されていないものは「本調子」で合わせるとよいでしょう。

本調子、三下げ、二揚げとよく使われる調子について説明します。

 

本調子について

男弦の開放弦「合」の音を「ド」とすると、中弦の開放弦「四」が「ファ」、女弦の開放弦を男弦の1オクターブ高い「ド」になります。

度数であらわすと

男弦←(4度)→中弦←(5度)→女弦

の調弦になります。


本調子の時の勘所

 


 

↓勘所表を見ながら説明を聞いて見てください。


三下がり(三下ぎ)について

男弦の開放弦を「ド」とすると、中弦は「ファ」、女弦は「シ♭(ラ#)」となります。

本調子(ドーファード)から転調する場合、第3弦・女弦を一全音下げます。

下の鍵盤のイラストを見るとわかりますが「シ-ド」は半音(黒い鍵盤がない)なので一全音下がるということは「ド→シ♭」に下がるということです。

度数であらわすと

男弦←(4度)→中弦←(4度)→女弦

の調弦になります。

 


三下げの時の勘所

七の位置が移動します

通常の本調子の時の「七」の位置が高い尺(17.3㎝)と同じ位置に移動します。

三下げの場合、琉球音階で作られた曲では、尺があまり出てこなくなります。



 

二上がり(二上ぎ、二揚ぎ)について

男弦の開放弦を「ド」とすると、中弦は「ソ」、女弦は「ド」となります。

本調子(ドーファード)から転調する場合、第2弦・中弦を一全音上げます。

度数であらわすと

男弦←(5度)→中弦←(4度)→女弦

の調弦になります。

三下げの時と同様「七」の勘所が17.3㎝の位置に移動します。

また、「下老」や「下尺」など運指の都合上ふだんあまり使わない位置の勘所も使う場合もあります。

 


一二揚げと三下げは一緒?

一・二揚げ調と三下げ調は調子としては同じチューニングとなります。

本調子から1弦目男弦と2弦目中弦をそれぞれ1全音上げるのが「一・二揚げ」

本調子から3弦目女弦を1全音下げるのが「三下げ」

例)「1の高さの一・二揚げ」=「3の高さの三下げ」と考えてかまいません。

どのキーの高さを基準としているかで呼び方が違うようです。

古典系の工工四は「三下げ」表記が多く、民謡系は「一・二揚げ」と表記されることが多いです。

 

一概には言えないかもしれませんが、普段4の高さで合せている場合は工工四に「一・二揚げ」と表記されていても「三下げ」と脳内変換して読み替えて、適宜歌いやすいキーの高さにするとよいでしょう。

 


 

ちんだみ早見表

 

印刷してご活用ください↓

ちんだみ早見表


てぃんさぐぬ花は「本調子」でも「三下げ」でも弾ける!?

沖縄のわらべうたの代表曲「てぃんさぐぬ花」は本調子で演奏するのが簡単ですが

「三下げ」で演奏することもできます。

本格的な琉球民謡の研究所(教室)では最初から「三下げ」で覚えるところもあります。

「三下げ」で演奏すると解放弦で音を出していた音を弦を押さえて出したり、

普段あまり使わない「九」の音をとるために手の動きが大きくなったり

音が不安定になります。その不安定さが琉球民謡らしい「味」になるのです。

このように調子が曲で指定されているのは

などいくつか理由があるようです。

 


一揚げ

まず、音源をお聞きください。

 

一揚げの曲は非常に少なく、調弦の説明もインターネット上にもあまりなかったのでお友達の八重山民謡の実演家に聞いてみたところ、チューナー等は使わず先生の音を聞いて感覚的に合せているそうです。

送ってもらった音源↑を聞くと

4の高さ 男弦E♭(D#)ー 中弦F  ー 女弦C

となっていて

本調子のCから1度半、音を上げるようです。本調子の時の乙と老の間の音ですね。

二揚げや三下げが完全1度上げたり、下げたりするのに対しても1度半というのは特殊な調弦方法です。

八重山民謡をやっている方々でさえ「気持ちの悪い音」といういわゆる不協和音の調弦で

なおかつ、曲によって中位で弾いたり、勘所が通常の勘所とは異なるため斉唱の時はしっかり統一して調弦しないと大変なようです(笑)

 

一揚げの曲

独特な緊張感のある味わい深い一揚げの曲です。

揚古見ぬ浦節