打音について

打音について

先日、お客さまよりご質問を受けました。

>さて、工工四に出てくる、「`」がよくわかりません。

「`」の記号は「打音(ウチウトゥ)」と言います。

誤植やミスプリントではありません。

やり方は、漢字からイメージできると思いますが、左手指で絃・棹をタップするんです。

ギターやベースで言うところのハンマリング(?)に近い装飾音です。

単独だとほとんど音が出にくいと思いますが、前の音の余韻を利用すると音が良く出ます。

試しにやってみよう!

実際に三線を持って「打音」の練習をしてみましょう。

例えば…

男弦の開放弦 「合」 を弾いて、あまり間をあけず、中指で「老」を叩くように音をだす。

女弦の開放弦「工」を弾いて、あまり間をあけず、人差指で「五」を叩くように音をだす。
※人差指は叩くというより、押さえるような感じです。

なぜ打音を使用するのか?

>左手で押さえるだけとありますが、それならなければいいのにと

思ったり・・・。

教則本で打音の説明を「左手で押さえるだけ」と表現している場合があります。

では、この「左手で押さえるだけ」が間違った表現かというと、あながちそうではありません。

琉球古典音楽では、実際、ほとんど音がしない間隔で「打音」が使われたり、連続して使用したり、強弱をつけたり、音としては、はっきりしない使われ方をすることがあります

要するに、打音を使用することにより、古典音楽独特の「間」(マー)を表現しているのでしょうね。

「なければいいのに」という疑問も、なかなかいいポイントついています。

実際、打音を無視して演奏してみてください。
問題なく、演奏できるかと思います。

では、なぜ「打音」なるものが出てくるのか?

それは、「打音」を使用することによって、メロディーに強弱がきいて、演奏がやわらかくなるからです。

別のページで説明しますが、「¬」(掛音・カキウトゥ)も同様な効果を狙って使用されます。

したがって、

まだ、演奏が慣れないうちは、あえて「無視して」演奏してもかまわないかと思います。

なれてきたら、このような装飾音を使用して、”演奏に味を出す”といいでしょう。

動画で説明をご覧ください。

文章だけでは、どんな感じの音なのかわかりにくいので、動画を用意しました。
ご覧ください。