掛音について
Contents
掛音(カキウトゥ)について
工工四にある「¬」の記号がある場合は、その音を出す際に弦を下からかき上げるようにして弾きます。
この装飾音技法を「掛音(カキウトゥ)」または、そうやって音を出すことを「掛弾き(カキビキ)」
ウチナーグチ(沖縄口・沖縄語・沖縄方言)でいうと、「カチウトゥ、カチビチ」と読んでも間違いではない、かと思いますが、野村流の工工四では、「掻音(カチウトゥ)」と別の装飾音の技法がありますので、区別するために「掛音(カキウトゥ)」とします。
ギターなどでいえば、「アップストローク」といったところでしょうか?
ご存じのように三線は、弦の上から下にバチを振り下ろして鳴らす、いわゆる「ダウンストローク」で弾くのですが、左の写真のように「¬」の記号があるところでは、アップストロークで弾くのです。
なぜ掛音を使用するのか?
打音のときと同じように、装飾音として使用する
普通の弾き方(ダウンストローク)でバチを弦にあてる音と掛弾きでバチをかき上げるように弦にあてる音では、微妙ですが音が違います。
かすれた音が出やすくなるのに気づきますか?
その微妙な音で演奏を豊かにします。
関連ページ 打音について
スムーズに演奏するため
掛音というと、はじめての方は難しいと感じると思いますが実は、
掛弾きにしたほうが、演奏がスムーズになる
場合がほとんどです。
もっと言えば
掛音の記号を無視して、普通弾き(ダウンストローク)にするほうが難しい
とも言えます。
なぜならば、
工工四をよく見てみると、この掛音の記号のところは、マスとマスの間、いわゆる”五分(1/2拍)”のところにあることが多いです。
試しに掛音の記号無視して弾いてみてください。
もちろん弾けないことはないはずですが、バチさばきが忙しい動きとなり、カタイ演奏になりませんか?
掛弾きを使用することによって、ゆったりとして見た目にも美しい演奏が可能となります。
演奏を華やかに、リズミカルにするため。
テンポの良い早弾きの曲をさらに華やかに、リズミカルにするためにも、掛弾きをよく使います。
たとえば、
工 五 七 七 工 五 七 七 (タン タ タッタ タン タ タッタ)
↓
工 五 七 七¬七 工 五 七七¬七 (タン タ タタタ タン タ タタタ)
のように。
ちなみに、”早弾きのときには、掛音の記号は工工四にはほとんど示されていません。”
したがいまして、どのタイミングで掛けをいれるのかは、演奏する人によって違います。
上手な人の演奏をよく聴き、どこでどんな感じで掛音をいれているのかを参考にしてみましょう。
その際のコツが、「口三線(くちさんしん)」です。
音源を聴きながら「タン タ タタタ」というふうに、まずは、三線の音を口ずさんでリズムをとる練習をすると、感じがつかめてくるはずです。
掛音を使用する際の注意
掛音は装飾音なので、ダウンストロークとアップストロークの強弱を付けなければいけません。
下記のイメージで強弱をつけます。
遅いテンポ 早いテンポ
9:1 ⇔ 8.2 ⇔ 7:3 ⇔ 6:4 ⇔ 5:5
(ダウンストローク:アップストローク)
曲が早くなればなるほど、強弱の割合は五分五分となり、つまりほぼ同じ強さで弾くことになります。
また、アップストロークがダウンストロークより強く弾くことは基本的にないと考えてください。
動画で説明をご覧ください。
↓早弾きのときの掛弾き